夏の夜はやっぱりホラーだ

平塚市図書館中央館も伝統と歴史を感じさせる、というか正直なところ中途半端に古めかしい、なんて言っては身も蓋もないのだが、使われてない開かずの会議室なんてのがあっても不思議ではないような雰囲気もあって、ホラーの舞台に結構いけるんじゃないかと、無責任で失礼な枕を置いて、さて本題です。

いい歳をしてゴーストハントなんて読んでてよろしいのか、この疑問はとりあえず横においておきます。なにしろ、面白いんだもの。ミドルティーンのボーイズアンドガールズが主役で、それも回顧ものじゃなくてリアルタイムで少年A少女Bが大活躍とあっては、こりゃ未成年向け学校図書御用達の類と腰が引けるのはまあ仕方がない。

強いて言えば、著者の小野不由美さんがはや50歳ということで、立派な大人であることが救いか。ご主人は綾辻行人氏とのことで、やっぱり夏の夜はホラーつながりの話で盛り上がるんかいねと余計なお世話の下世話な興味が不躾にもむくむくと湧いてくる。

さて、ゴーストハントの新装刊も第5巻『鮮血の迷宮』まで来た。アマゾンの書評を見ていると、この巻が一番好き、みたいな方もいらっしゃる。確かにここまで、右肩上がりに充実してきました感がある。登場人物のタカが、ええっと誰だったっけと、ウィキを覘いたのが失敗だった。予告なくしっかりネタバレしている。あちゃー、ナルって、その人ご本人だったのね、と。今はとりあえず知らないでおいて後続の巻でびっくりさせてもらったほうがよかったよ。ビールの前に麦茶を飲んでしまった感じ、とでも言っておきましょう。

ゴーストハントの世界観には迷いが無い。霊は、いる。が、特定の宗教に依拠しない。あらゆる宗派のマントラがそれなりに効果を示す。唯一絶対の存在に逃げない、頼らない。八百万のすべてをあるがままにリスペクトする揺らぎ無き姿勢が清々しい。

で、本作は、とうとうグローバルスタンダードへ、というか、あちらではホラーと言えばこれと相場が決まって定番化しているが、日本ではそれほどポピュラーではない。やはり、肉食を嫌う仏教の影響ということか。それにしても、最後の展開は圧巻。イマジネーションが刺激される。そして緊迫感。本当に恐い。逃げるが勝ちとはこういうことと描いて見せてくれた、見事な結末。

寝る前に読むと本当に眠れなくなってしまうので、ご用心。